【第12期4回目授業 1時間目 近藤 早映 先生】

【近藤 早映(こんどう さえ)先生 東京大学先端科学技術研究センター】

東京大学先端科学技術研究センター 准教授

2001年12月 JR東海コンサルタンツ株式会社建築設計部
2016年 4月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士後期課程 修了
2017年 4月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻都市持続再生学講座 特任助教
2018年 7月 東京大学先端科学技術研究センター地域共創リビングラボ 特任助教
2021年 4月 三重大学大学院工学研究科建築学専攻 准教授
2023年12月 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

研究分野
近年注目を浴びる「スマートシティ」や「スーパーシティ」は、人々のワクワク感や期待感を高揚させ、その実現に必須となる科学技術の発展を後押してきました。しかし、物理的環境の成長だけを追い求めると時に短絡的な市場経済に扇動され、結果的に公害や地価高騰など日々の安寧な暮らしを脅かす事態を招いた過去の苦い経験があります。もちろん、これらの解決にむけて多くの努力がなされましたが、面倒で地道な作業は成長を追い求めるモチベーションを超えられず、その結果、昨今の都市の課題はさらに複雑化しています。今こそ物理的環境の成長に軸足をおいた都市計画を問い直すべきで、都市の本質的な価値を社会的、文化的、そして人間的な視点からも捉え直し、様々な変化に追従できる創造的で革新的な都市づくりの仕組み、すなわち新しい社会システムを形成する必要があります。
この社会システムには、人々が連携して相互に意思疎通しながら各人が内発的な関心と自発的な移行にもとづいて行動するという社会的、文化的、人間的理念は欠かせません。この前提に立ち、「人」の視点に重きを置く、創造的な参加行動を促す「リビングラボ」に関する研究、革新的な地域を支援する空間マネジメントに関する研究を実施しています。これらの成果をもとに、地域らしさを生かした地域社会システムの開発にも取り組みます。
なお、これらの研究活動のアウトカムとして、都市工学などの既存の学問分野の拡張を想定していますが、複雑な都市課題を解くことを目指しているからこそ、様々な専門分野や学術真理からの知の融合が必須です。先端研には40もの学術分野と多様な背景の研究者によって構成されており、日常的に知との遭遇が可能です。この遭遇を必然とする議論の場づくりや先端研内外への発信を定期活動化し、自身の研究分野だけでなく、相手の研究の新領域開拓にも貢献することを目指しています。

受賞
1996年 7月 日本コンクリート工学協会年次大会優秀講演賞
2013年 3月 みと学生まちづくりプランコンペ2013最優秀賞
2016年 5月 公益社団法人日本都市計画学会論文奨励賞
2023年 8月 一般社団法人人工知能学会全国大会優秀賞

キーワード
市民参加・協働のまちづくり、公共空間利活用、公共施設計画、リビングラボ、空き家問題、賑わい