平成30年8月11日(土)【2時間目】
平成30年8月11日の授業の2時間目の教科は情報。
「マーケティング入門」として、アパレル会社マーケティング部門配属から38年間マーケティング一筋の吉澤 隆先生から「ネット時代のマーケティング」と「ブランドが持つ力」を教えていただきました。
【ネット時代のマーケティング】
マーケティング部門の仕事は広告・宣伝に始まり商品企画、販売戦略、市場調査まで、商品・サービスを販売する業務のほとんどすべてをカバーします。マーケティングとは端的に言えば「売れる仕組みをつくること」。ピーター・ドラッカーによれば「販売を不必要にし、商品が自然に売れること」を目指すのがマーケティングの仕事です。私は、1997年、インターネットの黎明期にネットリサーチを軸としたマーケティング会社を立ち上げ、以来ユーザー参加型の商品開発を実践してきました。その経験を通じ「ユーザーはマーケティングに関わりたがっている」という確信を得ました。特にネット時代に入り、ユーザーのコミュニケーションスタイルは、従来のTVなどを使ったマスコミュニケーションと異なってきていて、必然性があり、能動的で自ら求めていく点、さらに魅力や共感、気づきなどの双方向性を持つことがわかっています。そのため、ユーザーをどのように巻き込んでいくかが一つのマーケティングの鍵となっています。
「コンテンツ・イズ・メディア」とは、ただ商品を売るだけでなく、商品を使うノウハウなど、面白くてためになる周辺情報を一緒に用意することで、商品をユーザーに訴求していく考え方です。例えば、商品購入者のレビューを通じて、商品の魅力や利点を伝えていくやり方も一つの方法です。
ブランドの力
ブランドは人の記憶の中で成長させる、商品・サービスに対するいい意味での先入観を持ってもらうための仕組みです。ブランド力がある商品は、未発表商品を顧客に予約させる力を持っています。例えばスティーブ・ジョブズは、アップル製品のブランディングに多大な貢献をした経営者ですが、彼は決して顧客の顔色をうかがうことはしませんでした。むしろ顧客の代表として、顧客と同じ方向を見ている。新商品も「自分が好きな(使いたい)商品を作った」というスタンスで発表していました。
人は「自分が関わっていること」「自分が知りたいこと」「自分の発言へのいいね!」に関心が高い。テレビよりSNSの方がチェックの回数が多いのはその表れです。人が持つ、自分が「何かを好き」の力は、非常に強くなっています。
フィリップ・コトラーは著書『マーケティング3.0』で、現代は「協働・共創の時代」であると主張しています。今や、商品を売る人、買う人以外の関係性を持つ人が生まれ、さらにネットで密に情報をやり取りできるようになりました。今後は、商品のファンの中からさらに商品開発に踏み込んでくるセミプロの顧客が出てくるようになり、ブランド構築に携わる人の和がさらに広がってくることになるでしょう。